女子プロ野球で大量の選手が今季限りで退団するという記事がサンケイスポーツに出ていた。現在、女子プロ野球のチーム数がそもそも何チームあるのか知らなかったし、大量に辞めてしまうということは、チームそのものが存続できるのか気になったので調べてみた。
出典:スポーツ報知
人気選手も退団
サンケイスポーツで記事になっていたのは、2019年11月8日に行われた今季限りで退団予定の選手31人が2チームに分かれて対戦した引退試合。
今季限りで大量の選手が退団する女子プロ野球の引退試合が8日、京都市のわかさスタジアム京都で行われた。
「美しすぎる女子野球選手」として抜群の人気を誇っていた加藤優選手やリーグ創設時から日本女子プロ野球のトッププレーヤーとして活躍してきた小西美加選手も退団するという。
人気選手の多くが退団するだけでも、何があったのか気になるところだが、女子プロ野球選手が71名しかいない中で、約半数の36名が一斉に今シーズンで退団するというから、ただ事ではない。
チーム数は減ってしまうのか
現在の日本女子プロ野球のチーム数は、全部で4チームで構成されている。
- 京都フローラ
- 愛知ディオーネ
- 埼玉アストライア
- レイア(育成チーム)
レイアは育成チームなので、リーグ戦に参加しているのは実質3チームということになる。
71名中、36名が退団するので残りは35名。それと入団テストの合格者が8名になる見込みらしいので、合わせて43名。
人数的には3チームで行われるリーグ戦の試合自体を行うことは可能だが、育成チームも含めた4チームで考えると、到底これまでの運営を維持できるとは思えない。
単純に考えると半数減るわけだから、2チーム体制が妥当ということになる。
日本の女子プロ野球が誕生してから10年という節目に規模が縮小されるのは非常に残念なこと。
なお、現時点で来シーズンも現在の4チーム体制となるのかは発表されていない。
女子プロ野球選手の大量退団の理由とは
人気選手も含めた36名が一斉に退団することになった理由とは、何だったんだろうか?
埼玉アストレイアに所属する加藤優選手は、自身のツイッターで退団に至った経緯や女子野球界への思いをつづった文章を投稿しています。
ご報告です。https://t.co/g9dikfehQI#女子プロ野球2019 #女子プロ野球#埼玉アストライア#加藤優 pic.twitter.com/92QxMPFY77
— 加藤優 (@y_k_09) November 1, 2019
女子野球を盛り上げていきたいという思いは伝わってきますが、明確な退団理由については文章を読むかぎり、よくわからないですね。
運営によるお金事情
現在、女子プロ野球リーグの運営も「京都フローラ」「愛知ディオーネ」「埼玉アストレイア」「レイア」の4つのチームもすべて「わかさ生活」が運営している。
出典:FNN PRIME
日本の女子野球は、2年に一度開催されるワールドカップで6大会連続優勝(2008~2018年)するなど、世界でもトップレベルであるが、日本国内での試合で思うように来場者が伸びず、厳しい収益状況が続いていたようです。
実際、11月8日に「わかさスタジアム京都」で行われた引退試合で日本女子プロ野球機構(JWBL)の代表理事が「4チームでの運営は厳しくなっている」と説明している。
2019年8月26日に記者会見を行い、新規参入企業の募集を開始していたが、決定するに至らず。
その結果、所属選手の来季契約について厳しい条件が突きつけられることとなり、大量退団につながってしまった。
プロよりアマのほうが安心
出典:産経ニュース
いろんなサイトの記事を読んでみると、今シーズンまでは、全選手が正社員としての雇用だったのに対し、来シーズンからは「正社員雇用」と「プロ契約」の選択を提示されたらしく、正社員雇用でも給与が大幅にダウンとなる条件で、プロ契約を望むと人気選手であっても構想外と言われた選手が多かったようだ。
関係者の話では、今季限りで戦力外となった選手が半数以上を占めていたらしい。
選手に新しく提示された契約内容は、シーズン中は野球に専念するために固定給+出来高払いとし、オフの期間は同社社員として働くか、別に選手自身が働き先を見つけるかの選択だったとみられる。約1カ月間、話し合いが続けられていたという。
言い方が悪いかもしれないが、わかりやすく言えば「リストラ」ですね。
どんな企業でも会社自体が傾いたら元も子もないので、ある程度のリストラは仕方のないことだと思うが、新規参入する企業が1社もないという状況も悲しい。
もし、新規に参入してくれる企業が1社でもあれば、これほどの大量退団はなかったかもしれない。
選手側からすれば、これまでと違い厳しい契約条件を告げられた時点で、正社員雇用だろうがプロ契約だろうが、先のことを考えると不安は大きかったはず。
仮に野球ができなくなったとしても、正社員として働いていけるアマチュアの企業チームに移りたいと考える選手も多かったのではないだろうか。
女子野球は世界でトップレベルなわけですから、もっとメディアに取り上げられて注目度が上がってくれればよいのですけどね。
女子プロ野球選手が安心して野球に専念できる環境が早く整うことを望みます。