ナイキ社製のピンクの厚底シューズ「ヴェイパーフライ」を履いた選手が、マラソンや駅伝で好記録を連発している。多くの選手がこれまでの記録を次々と更新するので、レプリカモデルとかではなく、実際に選手が使用しているものと同じものが一般販売されているなら、どれほど効果があるのか試してみたい気になりますよね。
ヴェイパーフライは一般ランナーも入手可能
ナイキの厚底シューズ「ヴェイパーフライ」は、マラソンや駅伝の限られた選手だけに提供されている靴(選手仕様)というわけではなく、誰でも入手が可能で普通のショップでも市販されています。
国際陸連(IAAF)がシューズに関して「使用される靴は不公平な補助、アドバンテージをもたらすものであってはならず、誰にでも比較的入手可能なものでなければならない」と定めているからです。
だから一般の人でもレプリカモデルとかではなく、選手が公式戦で実際に使用しているものと同じ仕様のものを購入することができます。
いちばん話題になっているピンクの厚底シューズは、2019年7月に一般発売された最新モデル「ナイキ ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%」の新色「ピンクブラスト」。
日本記録保持者の大迫傑も使用しています。
» 【NIKE公式】ナイキ ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%
2020年の正月に行われたニューイヤー駅伝や箱根駅伝でもピンクが目立っていましたよね。
ニューイヤー駅伝で優勝した旭化成は7区間のうち5人がナイキの厚底シューズを履いており、従来の大会記録を3分25秒も更新。
優勝 旭化成 4時間46分07秒
— EKIDEN News (@EKIDEN_News) January 1, 2020
4連覇!#ニューイヤー駅伝2020 pic.twitter.com/lp1kZfMSBS
2年ぶりに青山学院大学が総合優勝した箱根駅伝でも、全10区間のうち7区間で従来の記録が塗り替えられ、うち6人が厚底シューズを履いていた。
箱根駅伝、青学総合V 復路一度も首位譲らずhttps://t.co/GuE9lezbM6
— 朝日新聞 映像報道部 (@asahi_photo) January 3, 2020
第96回 #箱根駅伝 は3日、神奈川・芦ノ湖から東京・大手町までの復路(109・6キロ)が行われ、往路優勝の #青学大 がトップを譲らず、2年ぶり5度目の #総合優勝 しました。写真はゴールする湯原慶吾選手です(裕) pic.twitter.com/HBnhh8QZGc
青山学院大学が2年ぶりに総合優勝した箱根駅伝。往路の区間賞受賞者全員が履いたのは"ナイキ史上最速シューズ"でした。https://t.co/hGHYdgyZaE pic.twitter.com/QhJOk0sMa2
— FASHIONSNAP.COM (@fashionsnap) January 3, 2020
その他でも、2019年9月29日のベルリンマラソンで、ケネニサ・ベケレ(エチオピア)が世界記録にあと2秒の2時間1分41秒をマーク。
出典:産経ニュース
2019年10月13日のシカゴマラソンでは、ポーラ・ラドクリフ(英国)が16年以上も保持していた女子の世界記録である2時間15分25秒を、ブリジット・コスゲイ(ケニア)が1分21秒も更新する2時間14分04秒で優勝。
出典:産経ニュース
ベケレもコスゲイも最新モデルのヴェイパーフライを着用して好記録を叩き出している。
非公式だがマラソンで「2時間切り」も達成
マラソン世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ(ケニア)も、2019年10月12日にオーストリア・ウィーンで行われた「INEOS 1:59 Challenge」というイベントで、非公式レースではあるが42.195kmを1時間59分40秒という人類初の「2時間切り」を達成しています。
01:59:40.
— INEOS 1:59 Challenge (@INEOS159) October 14, 2019
What a weekend in Vienna...#INEOS159 #NoHumanIsLimited pic.twitter.com/pDZZc07ghf
キプチョゲだけは、最新モデルのヴェイパーフライではなく、これまでの厚底シューズを特別にカスタマイズした「超厚底シューズ」を履いていて、今後一般販売されるモデルのプロトタイプらしい。
これだけ次々と記録を塗り替えられると、誰がどう見ても「厚底シューズのおかげ」ですよね。
ナイキのシューズを使用していないアスリートグループが不満を訴えるのもうなずけます。
ナイキの厚底シューズ(ヴェイパーフライ)使用規制
好記録を連発しているナイキの厚底シューズについて、ワールドアスレチックス(世界陸連)が新規則を定め、ヴェイパーフライが使用禁止となる可能性が出てきている。
靴底の厚さに制限を加える方針を決めたとしているが、現時点では規制の時期や基準、対象は明確になってはいません。
ヴェイパーフライの最大の特徴は「厚底」。
反発力の強いカーボンファイバープレートを超軽量でクッション性のある素材で挟みこむので厚底になっており、反発性とクッション性を両立させている。
このカーボンファイバープレートの反発力が用具により選手の能力向上を促す「助力」を禁じるルールに反すると判断された可能性もあるみたいです。
選手は「ルールに従う」しかなく、監督やコーチを含め「どっちでもいいから早く決めてくれ」っていうのがいちばん言いたいことなんでしょうね。